【米国住宅】金利と需要ブーストが牽引する新たなトレンドの始まりか

2023-11-20 info@moncapi.com

米国の住宅市場では今、一種のジレンマが生まれています。住宅の買い手と売り手の双方にとって非常に悩ましい局面にあります。需要が増加している一因は新しい物件リストの増加であり、逆に物件リストが増えている一因は売り手が市場に参入する購入者の増加を察知したことによるものだからです。

住宅ローンの申請件数も上昇しています。11月10日までの週において、住宅ローンの申請数は前週比で3%増加し、5週ぶりに最高水準を記録しました。これで2週連続の増加です。住宅ローン金利が直近1か月で8%から7.4%台に低下していることから、多くの売り手が市場に参入しているのです。

そして、直近のインフレ報告書が金利に好影響を与えています。今週の消費者物価指数(CPI)報告によれば、インフレが緩和していることが示され、これにより連邦準備制度(Fed)が今年中に金利を引き上げる可能性が低まり、逆に金利を早めに引き下げる可能性が出てきました。

売り手も市場に増えています。販売用の新しい物件リストは前年比で3%増加し、2年ぶりの最大の増加となりました。住宅の総供給数も年初来の最高水準に達しています。これには以下3つの売り手の市場心理的な要因があります。

1.買い手需要の増加を察知

2.今後の住宅価格の下落を心配して、住宅を早めに手放したいというバイアス

3.金利水準がパンデミック時の水準に戻ることはないと悟り、低金利を手放す覚悟