アメリカでは大きく分けて2種類の住宅ローンがあります。コンフォーミングローン(Conforming Loan)とジャンボローン(Jumbo Loan)です。
住宅ローンを借りる際に、政府が定める基準に合ったローンは基準に「従っている」(Conforming)のでコンフォーミングローンと呼ばれます。コンフォーミングローンは銀行やローン会社からFHA, Fannie Mae, Freddie Macなどの政府関連団体に引き渡され、そこから投資商品として投資家に売られます。政府関連団体が仲介することで幅広い投資家層から資金を集められるため、金利が高くないのが特徴です。
政府が定める基準とは何か?
それは住宅価格です。住宅価格指数は毎月発表されて変動しており、それに応じて地域毎に基準となる住宅ローン金額の基準が政府によって定められているのです。コンフォーミングローンの限度額は毎年見直されています。 例えば、低価格地域の限度額は1ユニットUSD647,200ですが、ロサンゼルスのような高価格地域における限度額は1ユニットUSD970,800に設定されています。
一方、コンフォーミングローンの限度額に収まらない住宅を購入する場合には、ジャンボローンが適用されることとなり、金利が高くなってしまうのです。例えば、ロサンゼルスの住宅を購入する際、限度額が引き上げられることによって今まではジャンボローンが適用されて手を出せなかった価格帯の住宅を購入できる可能性があるのです。そのため、コンフォーミングローンの限度額は住宅購入者にとっては非常に重要な指標となります。
次のグラフは1979年以降のコンフォーミングローンの限度額の推移を示したものです。1979年以降、住宅価格が下落しても限度額が引き下げられたことはなく、上昇し続けています。2006年~2016年の間はUSD417,000で横ばい、2017年以降、住宅価格の上昇に伴い限度額は2022年にはUSD650,000まで上昇しました。
2023年のコンフォーミングローンの限度額を計算するためには、2022年9月までの住宅価格データが必要となります。この四半期データは11月29日に発表される予定です。現在、四半期指数については2022年第2四半期のデータしかありませんが(2021年第2四半期比17.0%増)、Purchase-Only指数は2022年8月まで11.9%増となっていることから、2023年の限度額は12%程度上昇することになります。
住宅価格の前年比変動率を12%と推定すると、2023年の限度額はUSD725,000程度(前年比+USD78,000)となります。ロサンゼルスのような高コスト地域の場合、限度額はUSD1,080,000程度(前年比+USD110,000)まで上昇する可能性があります。