世界の富裕層の運用の基本はアセットアロケーション

2024-03-13 info@moncapi.com

ご存じの通り、金融マーケットの未来を正確に、しかも継続して予測するのはあのバフェットでも、どんな天才でも、AIでも無理です。それなら予想が間違っても低いリスク(価値の変動率)で期待するリターンが望めるように、互いに異なる値動きをする資産をバランス良く保有していればいいよね、というのがアセットアロケーションの基本的な考え方です。

  このアセットアロケーション=投資ポートフォリオ内で異なる資産クラス(例:株式、債券、不動産、現金、ゴールドなど)の配分割合を決定する概念は、1986年に発表された「Determinants Of Portfolio Performance」(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)という論文によって世に広まりました。この論文は、ポートフォリオのリターンの93.6%がアセットアロケーションに依存しているという結論を示し、それまでの資産運用業界に大きな影響を与えました。その後も様々な議論、検証があり、依存度の違いこそあれ、長期運用においてアセットアロケーションが最重要であることは確かなようです。
  
 最近の例でいうと、2022年、それまで0.25%近くの低位にあった米ドル金利が4%上昇した結果、株も債券も平均二桁のマイナスになりました。2021年~2022年に、株や債券を減らし現金比率を高めたり、不動産、プライベートクレジット、インフラ等の金利変動に強いオルタナティブアセットの配分比率を高めることが全体のパフォーマンスに大きな影響を与えました。オルタナティブ部分は5~10%程度というのがそれまでのスタンダードでしたが、昨今のインフレ局面では、保守的な日本の年金基金ですらオルタナアセットを20~30%まで増やしてもいいのではないか、という意見が多くなりつつあります。因みに、流動性を重視する個人と違い、100年単位の長期運用を前提とするハーバード大学の大学基金は60%以上をオルタナティブで運用しています。

 財務省によると、2000兆円ある日本人の個人金融資産は97%が日本円、外貨はたったの3%です。そしておよそ半分は預金、株式や投資信託は14.7%となっております。この日本人全体のアセットアロケーションは1980年代から一向に変化しておりませんが、インフレやNISA制度の拡充で今後どう変化するかが注目です。

 一方、昔から米国人のアセットアロケーションでは株や債券、又はそれらに投資するファンドの比率が全体資産の半分位占めています。そして米国人の個人資産はこの20年間で平均3.4倍になりました(日本は1.4倍)。

 だからと言って、今後も日本人全体のアセットアロケーションが米国人のようになることはまず無いでしょう。何故なら、これまでの違いは両国のインフレ率、雇用賃金制度、年金福祉制度、税制、つまり歴史と文化の違いが背景にあり、そう簡単に変化するものではないからです。しかし我々が日本人の平均的なアセットアロケーションに固執する意味は全くありません。

  大切なことは、各人の人生計画、リスク許容度、投資方針、によってオリジナルのアセットアロケーションを最初に組み、定期的に投資環境や価格の変動に合わせて配分比率の調節をする(リバランス)ことです。順番はあくまでもアセットアロケーションの決定が最初で、個別の銘柄選択はその後です。勿論個別選択は大事ですが、それ以上にアセットアロケーションが長期的には大事ということです。 

 保険会社による本格的なポートフォリオ運用業が始まった200年前から遡ると、英国の国債がポートフォリオの大半を占めていた時代もあれば、プライベートクレジットがポートフォリオの大半を占めていた時代、20世紀に入り世界大戦によるインフレで債券から株へシフトした時代まで、先人達はそれぞれの時代に合った新しいアセットクラスに投資し、アセットアロケーションを変化させてきました。現在、皆さんのポートフォリオはどんなアセットアロケーションでしょうか? Q&Aからご相談いただければ無料で診断させていただきます。