金利のマーケットへの影響力

2023-12-20 プライベートバンクでの運用のヒント info@moncapi.com

EAM事業のメインターゲットは個人富裕層ですが、最低限運用に必要な知識から上級者向け情報まで、ここでお伝えしていけたらと思います。 先ずは基本から学びたい方向けに、運用のヒントをシリーズ化して書いていこうかと思います。今回は金融における基本中の基本、金利とマーケットの関係についてです。ご存じの方は釈迦に説法なので、スキップ願います。

 マーケットに影響を及ぼす要因は様々ありますが、なんといっても一番大きな要因が金利です。金利を下げることで投資や消費活動が活発化し世の中にお金が出回りインフレになり、逆に金利を上げることで借り入れや投資、消費活動が減りインフレを抑える効果があります。日銀やFRBなど各国の中央銀行の主な役割は金利の上げ下げによる物価の安定ですが、その金利の動きによって株式、債券、不動産、ゴールド等の資産価格が左右されます。

金利と資産価格との関係をイメージするため、債券や不動産等、あらゆる資産価値の基本的な評価方法である割引現在価値(DCF法)の式を見てみましょう。ある資産から生まれる将来キャッシュフローを現在の金利(割引率)で÷割ることで現在の価値を測ります。

上記のCFキャッシュフロー、Terminal Vlue(n年後の価値)、期間n、は変わらないと仮定すると、金利=r割引率が小さくなるとDCF現在価値は高く、逆にrが大きくなると現在価値は下がるのがお分かりになると思います。特にキャシュフローや償還金が決まっている債券ではこの式が現在価値の評価方法となりますが、株や不動産等のようにキャシュフローや最終的なTVが変化する資産を評価する際は他の評価方法との併用が必要です。それでも金利がある程度価格に影響するのが、この式から分かるかと思います。

実際にこの1年で米国の政策金利=短期金利が約5%上がったことで、銀行の変動金利ローン残高は減り、債券や株を売った資金が定期預金やMMFになだれ込みました。次にこの資金がいつ、どの資産へ向かうのか、は全て金利次第とも言えます。したがって、金利の半年先、一年先を読む事が最も大切になるのです。