金利が、
これからのAI投資を規定する
AI・半導体関連株の調整は、技術の行き詰まりではなく「お金の流れ」の変化を映しています。データセンター投資が借入に頼る段階に入ったいま、ペースを決めるのは金利と信用の条件です。社内の議論をもとに、見方と資産配分への示唆を整理します。
指数は持ちこたえ、個別銘柄は大きく下がる
年初から上昇を続けてきたAI・半導体関連株は、ここにきて3〜4割下がる銘柄も珍しくなくなりました。一方で、株価指数そのものは大きくは崩れていません。少数の大型株が指数を支え、多くの個別銘柄は年初の水準を下回るという、指数と個別のずれが広がっています。
利益確定が出やすい時期であることに加え、バリュエーションも過熱の水準から過去の平均に近いところまで戻ってきました。業績の見通し自体は崩れていないため、「業績が悪くなったから下がった」というより、「同じ利益に対して払う値段が変わった」と見るのが実態に近いと考えます。
制約は技術ではなく、資金調達
AIの設備投資は、データセンター、電力、冷却、送電網と、裾野の広い長期の投資です。発電設備や大型の電源機器は納期が数年先になるものもあり、計画どおりに建設が進んだとしても、稼働までには長い時間がかかります。各地で地域住民の反対により建設が止まる例も出ています。
この間の資金を誰が、どの条件で出すのか。投資の初期は手元資金の厚い大手企業が自己資金で賄ってきましたが、規模が膨らむにつれて、借入や社債への依存が高まっています。とくに、データセンターを専業で運営する新興の事業者は、資金調達の条件がそのまま事業の継続性を左右します。
競争は止まりにくい。だから金利がペースを決める
大手各社の設備投資計画は、むしろ上方修正が続いています。一社が手を緩めれば競争から脱落しかねないため、各社とも分かっていてもやめられない、いわば「囚人のジレンマ」の状態にあります。勝者と敗者がはっきりするまで、投資競争そのものは続く可能性が高いと考えます。
競争が止まらない以上、投資のペースを最終的に決めるのは、技術の進歩よりも資金の値段、つまり金利と信用の条件です。金利が高止まりし、スプレッドが広がる局面では、自己資金の厚い企業と、借入に頼る企業との差がはっきり出てきます。「身の丈に合ったレバレッジ」かどうかが、銘柄を見るうえでの重要な物差しになります。
資産配分への示唆
個別の推奨ではなく、一般的な考え方として、次の3点を挙げます。
- 債券は、長めの年限も選択肢に AI投資の失速が景気の減速につながる局面では、金利が下がりやすくなります。株式の下落リスクを和らげる手段として、長めの年限の債券を組み入れる考え方があります。
- 株式の比率に応じて、動き方を変える もともと債券中心で株式の比率が低い方にとっては、調整局面は株式を少しずつ増やす機会になりえます。逆に株式の比率が高い方は、守りを意識した配分への見直しを検討する時期です。
- 一社の社債に集中しない 名前をよく知っている会社の、利回りの高い社債だけを持っているケースを見かけます。利回りの高さは、信用リスクの裏返しです。発行体と通貨、満期を分散させることが基本です。
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